1.概要
1.1.システム構成
下記がインストール完了後のシステムイメージです。 - PCには、PLCアプリケーションの開発用CODESYS統合環境をインストールします。 - Raspberry Piには、CODESYS Runtimeをインストールし、PLCとして機能させます。 - PCとRaspberry Piの通信はSSHで行います。 - 安定した接続のため、有線Ethernet接続を使用し、固定IPアドレスを設定します。![]()

1.1.セットアップ手順概要
手順 | 作業項目 | 作業内容 |
---|---|---|
1 | Raspberry Piセットアップ | Raspberry PiのOSインストールや諸設定を行う(一般的なRaspberry Piのセットアップ) |
2 | PC CODESYS開発環境セットアップ | PCへのCODESYS環境セットアップ |
3 | Raspberry Pi CODESYS Runtimeセットアップ | PCからRaspberry PiへCODESYS Runtimeをインストール |
2.セットアップ詳細
2.1Raspberry Piセットアップ
-
① Raspberry Pi Imager
・Raspberry Piデバイス:セットアップするRaspberry Piを選択 ・OS:Raspberry Pi(32-bit)を選択(注:64Bitバージョンを選択すると、CODESYS Runtimeがマルチコア機能を使用できなくなります。32bitバージョンを使用することで、Raspberry Piの全コアを効率的に活用できます。)![]()
- ② Use OS Customization?
「設定を編集する」を選択
③ OS Customize
ユーザー名とパスワード、SSHは必ず設定し、SDカードへ書き込みを行います。
(注:SSHを有効にすることで、ネットワーク経由でRaspberry Piにリモートアクセスできるようになります。これは後のCODESYS Runtimeのインストールとデバッグに必要です。)
- ④ SDカードをRaspberry Piに差し込み起動
- ⑤ 有線IPアドレスを固定IPアドレスに変更(注:固定IPアドレスを設定することで、PCとRaspberry Pi間の通信が安定し、CODESYSが常に同じアドレスでRaspberry Piに接続できるようになります。これにより、開発やデバッグがスムーズに行えます。)「Edit Connections」をクリックする。
⑥ 有線接続の設定を選択
Wired connection 1を選択し、⚙をクリック
⑦ IPアドレスを入力しSaveボタンを押す。

⑧ リブートする(sudo reboot)
⑨ パソコンからPingでIPアドレス設定を確認する
⑩ 有線接続がローカル接続専用の場合下記を実行する(この場合、WiFiインターネット接続となる)
1. 次のコマンドで有線接続を手動設定に変更: sudo nmcli connection modify "Wired connection 1" ipv4.method manual 2. IPアドレスを設定: sudo nmcli connection modify "Wired connection 1" ipv4.addresses 192.168.100.101/24 3. デフォルトゲートウェイとして使用しない設定: sudo nmcli connection modify "Wired connection 1" ipv4.never-default yes 4. 設定を適用: sudo nmcli connection up "Wired connection 1" |
2.2. PC CODESYS開発環境セットアップ
CODESYS開発環境は、PLC(Programmable Logic Controller)プログラムを作成、編集、デバッグするために必要です。この環境をPCにインストールすることで、Raspberry Pi上で動作するPLCプログラムを効率的に開発できるようになります。
① Webサイト(CODESYS Store)よりCODESYS 64 3.5.20.20.exe(64bit)をダウンロード。版数は最新を取得する。(注:常に最新版を使用することで、最新の機能や重要なセキュリティ更新を利用できます。)

② CODESYS 64 3.5.20.20.exeを実行しインストールを開始。
③ デフォルト設定でインストールを最後まで進める

2.3. Raspberry Pi CODESYS Runtimeセットアップ
① CODESYSを起動
② 「ツール」メニューの「CODESYS インストーラ」を起動

③ アドオン内「ブラウズ」タブ選択、検索キーワードで「rasp」と入力し、「CODESYS Controle for Raspberry Pi」の「インストール」をクリック
④ 下記確認ダイアログで「OK」をクリック
⑤ ライセンスを確認し、「続行」をクリック
⑥ アドオンインストール完了でOKクリック
⑦ CODESYS Installerを終了させる
⑧ CODESYS を起動
⑨ 新規プロジェクトボタンを押して、プロジェクト格納場所と名前を入力し、標準プロジェクトを押下
⑩ デバイスで「CODESYS Control for Raspberry Pi MC SL (CODESYS)を選択し、OKを押下
⑪ 左側にツリーが表示されるので、Raspberry Piの設定の為、「Device」をダブルクリックする
⑫ 続いてRaspberry PiにCODESYS Runtimeをインストールします。
(注:CODESYS RuntimeはRaspberry Pi上でPLCプログラムを実行するために必要です。このステップでPCからRaspberry PiにRuntimeをリモートインストールすることで、Raspberry Piを実際のPLCとして機能させることができます。)
「ツール」メニューから「Raspberry Piを更新」を選択します。
⑬ 表示されたダイアログで「ユーザ名」「パスワード」「IPアドレス」を入力して、インストールボタンを押す
⑭ ランタイム選択画面が表示されたら、デフォルト設定のまま「閉じる」をクリックします。
⑮ 確認ダイアログが表示されたら「はい」を選択し、インストールを開始します。
⑯ ここまでで、Raspberry PiにRuntimeが転送できています。PLC構成設定を行うため「デバイス」タブを押下します。
⑰ 構成図画面で、Raspberry PiのIPアドレスを入力しEnter(ゲートウェイはパソコン内で動作しているので入力不要)
⑱ 名前とパスワードを入力(ここではRaspberry Piのデバイス設定と同様とした)
⑲ ログイン画面でユーザ名とパスワードを入力しOK
以上でインストールは完了です。
2.4. 動作確認
ここでは、簡易なプログラムを作り動作確認をします。(注:この簡単なカウンタープログラムを実行することで、CODESYS開発環境、PC-Raspberry Pi間の通信、そしてRaspberry Pi上のRuntimeが正しく機能していることを確認できます。TestCtの値が増加していれば、システム全体が正常に動作していることを意味します。)
① デフォルトで登録されているPOU、PLC_RPGに下記を実装します。
VAR TestCt := TestCt + 1; |
② 実行周期を定義するために、「MainTask」の上で、「オブジェクト編集」を選択
③ Task実行周期を1000[ms]にします。
④ PLCにプログラム転送の為、「ログイン」をクリックします
⑤ 認証を求められたら、ユーザ名とパスワードを入力。その後、下記で「はい」を押すことで転送開始
⑥ 実行ボタン(▶)を押し、作成したプログラムをモニタし動作を確認する。
TestCtがカウントアップしていればOKです。
